六華窯雪月花~News
六華窯の 「今」 をお伝えしていきます。
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六華窯雪月花~News No.47
随想 「秘密の銀行」
3月1日は渓流釣り解禁日である。 相棒の菊池と釣りを始めて38年になる。 いつもこの時期になると、どちらからともなく電話を掛ける。
「オイ、じゅんびしとけよ」
夜、ウイスキーのグラスを片手に、山奥のなじみの源流のポイントを思い浮かべながら仕掛けを作る。 これが何とも無性に楽しい至極の一刻である。 様々な川との出会いがあって思い出すだけで懐かしい。
まずは、スーパーで食料を調達することから始まる。 たいていは、彼が料理を担当してくれるのだが「今晩はスペアリブとクリームシチューでいくか。 それに野菜は途中で山菜を採る。 ビールとバーボンウイスキーの小瓶ヨシ!」といった調子で、山での楽しみの一つ、夕食のメニューをつんででかけるのである。
2時間走って高速を降り、いくつかの村を通り過ぎて、いよいよ釣り場の入口の林道に入る。 さらに車で行ける処まで分け入り、その後は歩きとなる。 テントに載せたリュックの重みが肩に食い込み、二つの尾根を超えるのに、ロープをつかいながらの2時間半、ようやく目的の釣り場にたどり着く。 標高600メートルの高さにきたであろうか。
既に夕暮れが近づき、早めの食事の準備にとりかかる。 たき火にあたり、川音を聴きながらの男たちの山の「夕メシ」は、なかなか経験できるものではない。 スペアリブに添えられたタラの芽も、その肉汁が浸みてほろ苦く、けっこう乙な味である。
満天の星空に、人工衛星の光りが頭上を通過していくのを見ながら、残りのウイスキーを飲み干し、明朝一番、おのおのの銀行に貯金を下しに行くことを楽しみに眠りに入る。
山菜取りやキノコ狩りをする人も恐らくそうであるように、釣り人にも必ず釣れるという自分たちの<秘密の場所>があり、それを絶対に人に教えたくないのである。
相棒とわたしは、これを<銀行>と称し、半年の禁漁期間の利息が尺の岩魚(イワナ)になっていることを期待しながら毎年この場所にやってくる。
水音をたてぬよう警戒しながら、上流へと上がるにつれ足元の水も一層冷たく感じられる。
銀行に近づくと、そこは一年前と変わらない美しい渓相が二人を待っている。
ここからは秘密である。
果たして今年はどんな出逢いがあるだろうか。
「今年は6月に松屋銀座の個展を控え、残念ながら渓流釣りに行けなかった。
秋になり、残念だったな・・・と思っていたところ、友人の加藤君から隠岐の島の釣果が届いた。 彼は先月、アラスカで大きなキングサーモンもゲットしている。
何ともうらやましい釣行である。 早速その釣果で晩酌が楽しみだ。」
「友人の例年の隠岐の島の釣果が届いた朝
騎士ハタに~盾持ちのカサゴも、存在感あるな~」
ほっき飯を作ってクール便を待つ。<騎士ハタ>&
一人の騎士を主人と仰いで、身の回りの世話から、
戦場へ~の<スクワイアーカサゴ>がやってきた。 .
明日は第2段のタイがつくのを待つ幸せ・・
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「早速、加藤君からのメールと楽しい写真が届きました。
美しい大海原と大釣果のコミカルな雰囲気伝わりますね~
「岩井 純 様
早速見事に捌いて食して頂き、ありがとうございました。
台風12号が接近してきたため、予定を1日半繰り上げて今帰宅しました。
今回は(も)大漁でした。昨日の釣果を添付しました。今回の参加者は4人ですが、それぞれ2人ずつの釣果です。ヒラマサ、ブリ、ヒラメ、カサゴ、などいずれも大物ばかりで、今年のマダイが小さく見えます。加藤」
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